Beauty Column美肌コラム

皮膚の構造と機能 1.皮脂膜

2018年09月29日スキンケアに必要な皮膚の知識

1)皮膚の機能
皮膚には主に「保護膜」「体温調節」「センサー(感覚器)」の3つの働きがあり、心身の健康状態を表す「鏡」としての役割を担っています。「皮膚は健康の鏡」とよく言われ、「美肌を保つには心身の健康が大切。」です。

1.保護膜
皮膚は外界と身体の境界として、水分の喪失や透過を防ぎ、紫外線・微生物(細菌やウィルス)・化学物質・異物の侵入や物理的衝撃などから身体を守る。

2.体温調節
汗によって水分の排出を調節し、体温を保つ。

3.センサー(感覚器)
触覚・圧覚・痛覚・温覚・冷覚などの様々な皮膚感覚を受容する。

2)皮膚の構造
1.表面の構造
皮膚の表面には毛穴があり、毛穴の奥には皮脂腺が開口し、皮脂腺で生成された皮脂は毛穴を伝わって、皮膚の表面に分泌されます。毛穴からは溝が伸びて周辺の毛穴につながっています。これを皮溝といい、高くなっている部分が皮丘です。ここにはエクリン汗腺の穴があり、暑いときには汗が出ます。この皮丘と皮溝でできた模様をキメ(肌理)と言います。キメの形や大きさは皮膚の部位、肌質、性別などによって異なり、季節や加齢によっても変化します。

「キメの整った肌」は「綺麗な肌」を特徴づける1つで、日本人はキメが細かいと言われます。キメが細かい肌とは皮溝と皮丘でできた◇(ひし形)の1つ1つが小さく、細かく規則正しく並んでいます。キメの整った美しい肌は水分量と皮脂量のバランスが良く、皮丘がふっくら盛り上がっています。

キメが乱れる原因には、紫外線・摩擦・刺激物(肌に合わない化粧品)・微生物(細菌・ウィルス)等による皮膚の乾燥・炎症、また、ストレス等による生活習慣の乱れがあります。十分な睡眠が保てなくなると、成長ホルモンや女性ホルモンのバランスが崩れ、ターンオーバーも乱れて、キメの乱れの原因になります。

2.皮膚の断面の構造
皮膚は表面から表皮・真皮・皮下組織の3つの層で構成されています。表皮の最外層は角質層でその表面には皮脂膜が形成されます。皮膚組織の厚さは、角質層が0.01~0.03mm、表皮が0.1~0.3mm、真皮が1~3mmであり、それぞれ約10倍となっています。また、皮下組織(脂肪組織)は数mm前後で、個人差や部位差があります。

3)表皮・真皮の機能(働き)
美容という視点から皮膚の働きをみると、主なものは、1.皮膚表面の皮脂腺、2.表皮の角質層バリア、3.表皮のターンオーバー、4.メラノサイト、5.真皮の毛細血管、6.線維芽細胞、7.免疫の7つにまとめることができます。

1.皮脂膜
(1)皮脂膜の役割と分布
皮脂膜は皮膚の表面を被う保護膜で、皮脂膜から分泌された皮脂(トリグリセリド、スクワラン、遊離脂肪酸など)を主体として、汗腺から分泌された汗、皮膚表面の角質成分の分解物などが混ざり合ったph4~6の弱酸性を示す乳化物です。

皮脂膜は皮膚の水分の蒸散を抑えて、皮膚のつや・滑らかさを良くすると同時に、弱酸性であることで雑菌の繁殖を抑えたり、酸やアルカリなどの化学物質を中和したり、外部からの物理的刺激を緩和するなどの役割を持っています。

皮脂腺は真皮の毛穴にあり、毛が太いほど毛穴も皮脂腺も大きくなります。皮脂腺が多く分布するのは太い毛が多く生えている正中線(身体の真ん中)に沿った部位です。そのため、皮脂膜を形成するのは頭部から額、鼻周辺、胸や背中の中央の部位で、それ以外の部位では毛も細く少ないので、皮脂腺も小さく少なくなり、通常は膜状にはなりません。手掌や足の裏は皮脂腺自体が分布していません。

(2)皮脂分泌コントロール
皮脂分泌が多すぎると肌がべたついたり、皮脂に様々なものが付着して肌が汚れやすくなります。紫外線の照射などで発生した活性酸素によって皮脂が過酸化脂質になると、皮膚を刺激して炎症の原因となります。皮脂の量は性ホルモンに影響を受け、思春期から成人は多く、小児や老人は少なくなります。

性ホルモン(テストステロン・プロゲステロン)の影響で皮脂の生成と角質層の肥厚が同時に亢進すると、毛穴の入り口付近では大量に作られた皮脂が毛穴の周りからせり出してきた角質によってスムーズに排出されずに溜まり、乾燥して角栓を形成したり(白ニキビ、吹き出物)、酸化して黒くなって(黒ニキビ)、毛穴を目立たせてしまいます。さらにアクネ菌によって炎症を起こすと赤ニキビに、化膿して黄ニキビになります。

また、温度が上がると皮脂の流動性が増し、化粧くずれ(ファンデーションが落ちたり、ムラが生じる)や化粧くすみ(ファンデーション濡れによって色が暗くなる)の原因ともなります。
 
このように皮脂は分泌が多すぎることによってニキビ・吹き出物や化粧崩れに、また、老化や冬の寒さなどで皮脂分泌が少なすぎると肌のつやや滑らかさを失ってしまいます。

したがって、肌の汚れを取り除くこと、ターンオーバーを正常化して余分な角質をとり、毛穴のつまりを解消して皮脂の分泌をスムーズにすること、過剰な皮脂分泌を抑えること、皮脂膜を適度に保つことなどによって皮脂を適度にコントロールすることが大切です。

ターンオーバーを正常化してくれるものにビタミンAの外用剤(医療機関での処方に限られるトレチノイン化粧品に配合されているレチノール等)、角質のケアにはケミカルピーリング、皮脂分泌を正常化にはビタミンCのイオン導入がお勧めです。

参考図書
「美容皮膚科学」美容皮膚科学会監修 南山堂
「アロマ環境協会会報誌」