多汗症
多汗症は体質だから仕方がないと考えられがちですが、健康保険診療で治療できる病気です。
汗のお悩みは一人で抱え込まず、ご相談ください。
多汗症とは

多汗症とは、体温調節に必要な量を超えて過剰に汗が出る状態です。
特に次の部位に多くみられます。
- 脇(腋窩多汗症)
- 手のひら(手掌多汗症)
- 足の裏
- 顔や頭部
熱や運動に関連して汗をかく生理的なものと精神的なもの、脇や手のひらなど限定された部位だけの場合と全身に汗をかく場合があります。大量に汗をかくため、日常生活に支障が出たり、精神的な負担になることもあります。特に原因の無いものや内分泌代謝異常(甲状腺機能亢進症など)や神経疾患に合併するものもあります。
以下のような症状がある場合は、多汗症の可能性があります。
- 脇汗で服がすぐ濡れて汗ジミが気になる
- 汗で書類やスマートフォンが濡れる
- 人と握手することに抵抗がある
- 汗が気になり人前に出るのが不安
- 市販の制汗剤では改善しない
神戸山手クリニックの多汗症治療
神戸山手クリニックでは、外用薬・内服薬(現在、出荷調整のため手に入りません。)・ボトックス注射による多汗症治療を行っています。患者様の症状や生活スタイルに合わせて治療をご提案します。
1. ボトックス注射

ボツリヌストキシン製剤を注射し、汗を出す神経の働きを抑える治療です。
脇の多汗症に高い効果が期待できます。
特徴
- 保険適用(重症の原発性腋窩多汗症)
- 効果は通常4~9か月程度持続
- 日常生活への影響が少ない
- 短時間で治療可能
このような方におすすめ
- 塗り薬では十分な効果がない
- 長期間汗を抑えたい
- 汗ジミや臭いが気になる
重度腋窩多汗症
多汗症も、以下の診断基準を満たせば「重度の原発性腋窩多汗症」という病名がついて、保険適応でボツリヌストキシン治療(ボトックス注射)が受けられます。
原発性腋窩多汗症
診断基準
原因不明な過剰な局所性発汗が6ヵ月以上持続していることに加え、以下の6項目中2項目以上を満たせば原発性局所多汗症の診断となります。
- 両側性かつ左右対称性に発汗がみられる
- 多汗によって日常生活に支障が生じている
- 週1回以上の頻度で多汗エピソードがみられる
- 25歳未満で発症した
- 家族歴がある
- 睡眠時は局所性の発汗がみられない
上記の原発性局所多汗症の診断基準を満たし、かつ、以下の腋窩多汗症の重症度判定で3および4は重症多汗症と判定されます。
Hyperhidrosis Disease Severity Scale(HDSS)
- 発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
- 発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
- 発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
- 発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある
原発性腋窩多汗症の治療法
ボツリヌストキシン治療(ボトックス注射)(HDSS:4で健康保険適用)
多汗症ではエクリン汗腺という汗の出る汗腺が機能亢進しています。エクリン汗腺はアセチルコリンを神経伝達物質とする交感神経節後ニューロンに支配されています。ボツリヌス注射に使用するA型ボツリヌス毒素製剤は、神経終末におけるアセチルコリンの放出を阻害し、神経から汗腺への情報伝達を遮断することで発汗を抑制します。
効果は2-3日で出始め、持続期間は個人差がありますが通常4~9ヵ月とデータが出ています。
片腋窩でボツリヌストキシン50単位、両腋窩で合計100単位使用します。

治療の流れ
- 前日に剃毛していただきます
- 注射する部位を片側10~15か所、マーキング
- ボツリヌストキシンの薬剤を細い針で皮内注射
- クーリング
施術時間は10分程です。
注射当日の運動制限はなく、入浴も可能です。
治療後1-2週後に受診していただき、効果と副作用を確認します。
ボツリヌストキシンに対する中和抗体ができると効果が減弱、あるいは消失するため、4カ月以上間隔をあけて再投与を行います。
2. 外用薬(塗り薬)
神戸山手クリニックでは、脇汗に対する「エクロックゲル」「ラピフォートワイプ」、手汗に対する「アポハイドローション」を保険診療で処方しています。
これらの薬は、汗を出す神経の働きを抑えることで発汗を減らし、多汗症による日常生活の悩みを改善します。症状が強い場合や外用薬で十分な効果が得られない場合には、保険適用のボトックス注射をご提案しています。
多汗症の健康保険適用外用薬は、現在、主に次の3種類があります。

1. エクロックゲル5%(脇汗)抗コリン薬
効き方
有効成分の「ソフピロニウム臭化物」が、汗を出す神経伝達物質(アセチルコリン)の働きをブロックし、エクリン汗腺からの発汗を抑えます。
特徴
- 原発性腋窩多汗症(脇汗)の保険適用薬
- 日本初の保険適用外用薬
- 1日1回塗布
- 専用アプリケーターで手を汚さず塗れる
- 9歳以上が適応(施設により運用が異なる場合あり)
このような方におすすめ
- 毎日継続して脇汗を抑えたい方
- ワイプ(拭く)より塗るタイプを好む方

抗コリン薬とは...
自律神経のなかでも発汗を促す神経伝達物質(アセチルコリン)の働きをブロックする薬です。多汗症に対しては、汗腺への「汗を出せ」という過剰な指令を直接的に遮断することで、汗の分泌を強力に抑える効果を発揮します。

抗コリン薬が多汗症に効く仕組み
- 汗を出す指令の伝達:脳からの指令で交感神経の末端から「アセチルコリン」という物質が分泌されます。
- 汗の分泌:このアセチルコリンが汗腺(エクリン汗腺)の受容体にキャッチされると汗が出ます。
- 薬のブロック作用:抗コリン薬がこの受容体を先回りして塞ぐことで、アセチルコリンが結合できなくなり、汗の分泌が抑制されます

2. ラピフォートワイプ2.5%(脇汗)
効き方
有効成分の「グリコピロニウムトシル酸塩水和物」が、汗腺への発汗指令をブロックし、脇汗を抑えます。エクロックと同じ抗コリン薬です。
特徴
- 原発性腋窩多汗症(脇汗)の保険適用薬
- 1日1回、シートで脇を拭くだけ
- 外出先でも使いやすい
- 使い切りタイプで衛生的
このような方におすすめ
- 塗るより拭く方が簡単と感じる方
- 忙しく手軽な治療を希望する方

3. アポハイドローション20%(手汗)
効き方
有効成分の「オキシブチニン塩酸塩」が汗腺のアセチルコリン受容体をブロックし、手のひらの発汗を抑えます。
特徴
- 原発性手掌多汗症(手汗)の保険適用薬
- 1日1回就寝前に塗布
- 日本初の手掌多汗症専用外用薬
- 手汗による日常生活の不便を改善できる
このような方におすすめ
- 手汗で書類やスマホ操作に困る方
- 握手や接客時の手汗が気になる方
| 薬剤名 | 対象部位 | 使用方法 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| エクロックゲル® | 脇 | 1日1回塗る | 日本初の保険適用脇汗治療薬 |
| ラピフォートワイプ® | 脇 | 1日1回拭く | シートタイプで簡単 |
| アポハイド®ローション | 手のひら | 1日1回塗る | 手汗専用の保険適用薬 |

3. 内服薬(飲み薬)
発汗を抑える内服薬プロバンサインがあります。(現在、出荷調整のため手に入りません。)
外用薬だけでは十分な効果が得られない場合や、広範囲の発汗が気になる方に適しています。
このような方におすすめ
- 緊張時の発汗が強い
- 脇以外の発汗も気になる
- 外用薬で改善が不十分
口渇などの副作用がみられることがあります。
よくある質問
症状や診断基準を満たす場合は保険診療で治療が可能です。
重症の原発性腋窩多汗症と診断された場合は保険適用となります。
年齢や症状に応じて治療方法をご提案しますのでご相談ください。
外用薬は数日~数週間、ボトックス注射は通常数日~2週間程度で効果が現れます。
多汗症 治療費用
ボツリヌストキシン治療(ボトックス注射)
健康保険 約21,000円(3割負担)
自費診療 70,000円(税込 77,000円)
エクロックゲル
院外処方(健康保険)
初診料
健康保険 870円(3割負担)
自費診療 2,000円(税込 2,200円)
再診料
健康保険 380円(3割負担)
自費診療 1,000円(税込 1,100円)
健康保険の初診料・再診料は、土曜日13時以降・平日18時以降のご来院やマイナンバーの提示の有無等により3割負担で10円~150円程度加算されます。
初診・ご予約について
初診・診察につきましては下記の予約システム、または電話にて予約してください。