Doctor Column院長コラム

Vol.01 健康で美しいお肌づくりのために(皮膚バリアの補強)

2006年01月21日

skin care から skin cure へ

皮膚は物理的に体表面を覆っているだけでなく、紫外線から体を守り微生物やアレルゲンの侵入を防ぎ、また体表からの水の蒸散を抑えて水分の多い人体を保護しています。このバリア機能のおかげで人は乾燥した大気中での生活が保障されています。

バリア機能が低下すると皮膚がんの増加、乾燥肌、いわゆる敏感肌やアトピー性皮膚炎などの種々の皮膚疾患を誘発してしまいます。健康な皮膚とはこのバリア機能に優れた皮膚のことであり、それはまたしっとりとした張りのある美しい肌を意味します。
skin careとは皮膚の健康を保ち老化を予防して美しい素肌をつくるための肌のお手入れと説明されますが、当院のメディカルエステでは、それをおし進め、積極的に皮膚のバリアを構築して皮膚を健康にし皮膚疾病を予防・治療していくskin cure(治療する)の立場でおこなっています。
天然温泉源泉水とドクターズコスメをたっぷり使ったコースを設けましたが、乾燥肌、敏感肌、肌トラブルの多い方やアトピー肌の方に是非お試しいただきたいと思います。

皮膚のバリア機能

表皮は生命を維持するためのいくつもの重要なバリア機能を有しています。表皮細胞は基底層から分化と分裂を繰り返しながら上層へ移動し角層で劇的に角化(keratinization)をおこします。これは最上層の顆粒細胞が細胞死に至るため細胞核が消失し、細胞質はかたい蛋白質のケラチンに満たされた角質細胞に変化してしまうのです。

この角質細胞がレンガ造りのように15?20層ほど重なって角層を形成し表面は皮脂膜で覆われ、角質細胞の周囲は漆喰のように細胞間脂質で満たされます。細胞間脂質は水分子と主にセラミドが交互に重なり合った20?30層のラメラ構造をしていますが角層はラップ状に全ての皮膚表層部を覆うことになります。 右の図は細胞間脂質にセラミド等を供給する顆粒細胞にある層板顆粒の電顕写真ですがとても精緻な膜であることがわかります。

特に細胞間脂質がバリアの重要な機能担っているとされ、セラミドは疎水性のため水分蒸発へのバリアとなって水分の多い生体保護します。また、セラミドと結合した水はー40度でも凍ることがなく寒冷に対してもバリアとなります。さらに角層のバリア膜は分子量500以上の物質の侵入を防ぎ花粉やハウスダスト,微生物によるアレルギーや感染を防いでくれます。一方、表皮のメラニンは紫外線を吸収して皮膚がんの発生やサンバーンを抑えます。

このように表皮はいくつものバリア機能で生体を保護していますが、健康で美しい素肌作りのためにはこのバリア機能を補うべくお化粧やスキンケアをおこなっていくことが大切です。

しっとり肌コース

当院はスキンケアを大変重要視しています。単なる skin care ではなく積極的に皮膚バリアを構築して皮膚を健康にし、皮膚疾患を予防・治療していく skin cure (治療する)の立場でおこなっています。しっとり肌コースは天然温泉源泉水とセラミドなどのコスメをたっぷり使った皮膚バリア補強のための当院オリジナルのメディカルエステですが、乾燥肌、敏感肌、肌トラブルをおこしやすい方やアトピー性皮膚炎の方にぜひお試しいただきたいと思います。

感動あるクリニックを目指してをご参照ください。

皮膚バリアと化粧品

お化粧はスキンケアとメイクに分けることが出来ますが、クリニックでおこなうのはスキンケアのみになります。スキンケアは皮膚バリアを補強するためにおこなうものであり、バリアを構成する水分子の補給のために化粧水をつかい、またセラミドを加え、さらに皮脂膜の補強のために保湿クリームをつかいます。バリアのしっかりした健康な肌は、しっとりとしてかぶれがなくメイクなしでも素肌で勝負できるようになります。

敏感肌への対応

敏感肌の方は皮膚バリアが弱ってかぶれ易くなっていますが化粧品が合わないことも多いため、まず、今お使いの化粧品を止めていただきます。そして、皮膚バリアを強化すべく化粧水がわりにセラミド入りの天然温泉水を、また保湿クリームの代わりにスクワランかワセリンでスキンケアをしながらしっとり肌コースを続けていきます。当然のことですがカブレがひどいときは皮膚科軟膏を併用します。たいていの敏感肌はこれでなおりますので、そのあとでご自分に合った化粧品を選んでいく方法を取っています。

患者様の声 H様

私は若い時からきれいな肌をしていたのに、50才を前に乾燥じわが気になりだしてスキンケアにあれこれ力を入れ始めました。すると、肌がびっくりしたのかきれいになるどころか荒れてしまいました。近くの皮膚科を受診すると、ステロイドを処方され一時良くなるのですがすぐに再発をくり返したので別の皮膚科を受診すると洗顔のしすぎと言われ、またステロイドを処方されました。この頃からステロイドが手放せなくなったので怖くなって3軒めの皮膚科を受診すると酒さ様皮膚炎なっていて半年ほど通いました。

炎症は治まっても肌に合う化粧品がみつからず敏感肌用、植物由来成分、皮膚科医の作った・・・といろいろ試しましたがどれも、赤く腫れたり、痛痒かったりで泣きたい毎日でした。何かアレルギーをおこしている成分があるに違いない、対症療法ではなく根本療法はないかとネットで検索していたらたまたま、神戸山手クリニックを見つけ「肌のバリアを作ると治る」というのを見て、これだ!!と直感しすぐ予約しました。

美容クリニックというと料金が高いのではと少し不安でしたが、ここは保険も効くし院長先生の「この方法は一ヶ月半と言っているが2週間ほどで治ってしまうんだよね」という言葉に安心しました。初めてのしっとり肌コースを受けてみると赤みと熱感がほとんど消えていたのには感激しました。家ではセラミド入り温泉水とスクワランオイルだけなのに日に日に肌がスベスベになり、軽くお化粧もできるようになってきたのには驚きで毎日鏡を見るのが楽しくなってきました。

今から思えば、あの肌荒れに苦しんだ一年は何だったのか、もっと早く神戸山手クリニックを知っていればと後悔しています。私のように肌荒れ、化粧品アレルギーでお悩みの方には早くこちらを訪れて美肌を取り戻してほしいと思います。

健常者へのしっとり肌トリートメント

しっとり肌コースに興味をもって、トリートメントを希望される方がたまに来院されます。皮膚バリアのしっかりした方ですからお断りするのですが強く希望される場合は受けていただくこともあります。施術後に感想を聞きますとたいていは思ったほどではなかったといわれます。健康な方ですから当然のことですが、皮膚バリアの弱っている方には直後から確かな効果を実感していただいています。しっとり肌コースはフェイシャルエステではなく皮膚バリア補強のための治療なのです。