ほくろ
ほくろを治療する場合、まず大切なことは良性か悪性かの問題があります。ほとんどは良性ですが、悪性のほくろ(悪性黒色腫=メラノーマ)であることがあります。ダーマスコピーで拡大観察できますが、確定診断は病理診断になります。
当院では、積極的に病理検査をお勧めしています。当院でも悪性の例は少なからず有り、その場合は大学病院や市立医療センター等の2次医療機関への紹介を行なっています。
神戸山手クリニックのほくろ治療
2種類のレーザー(炭酸ガス+Qスイッチルビー)を照射する治療
良性・悪性の問題がクリアできれば、ほくろに対してできるだけ傷あとが目立たないように仕上げることを心がけています。一般的には1回で取りきる治療が行われているようですが、ほくろ治療後に陥凹性瘢痕、白色瘢痕、肥厚性瘢痕を起こす可能性があります。
当院ではこれらの瘢痕(治療による傷あと)をできるだけ残さないように、必ずしも1回で取りきることを目標にしておりません。大部分は1回で終了しますが、2つのレーザー(CO2レーザー・Qスイッチルビーレーザー又はピコレーザー)を使い分けて、隆起部と真皮残存部に対応しています。術後はテープ処置を行いますが、翌日からテープなしで洗顔することもできます。
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炭酸ガスレーザー
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Qスイッチルビーレーザー
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ピコレーザー
Qスイッチルビーレーザー(又はピコレーザー)を同時に使用することで、炭酸ガス(CO2)レーザーでの削り過ぎによる瘢痕(凹み)や、再発のリスクが軽減します。
なお、四肢や体幹部のほくろは瘢痕を残しやすいので、レーザー治療をお勧めしない場合があります。
外科的切除による治療
ほくろの状態、大きさによっては切除をお勧めすることがあります。
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ほくろ 症例写真
BEFORE

AFTER

ほくろ 治療費用
| ほくろ(皮膚腫瘍)除去 | 健康保険 約5,000円(2㎝未満)~13,000円(4㎝以上) 部位・大きさにより違いがあります。 |
|---|---|
| ほくろ 4mm未満 | 6,000円(税込 6,600円)(自費治療 ※2種類のレーザー照射) |
| ほくろ 4mm以上 | 7,000円〜(税込 7,700円〜)(自費治療 ※2種類のレーザー照射) ※大きいほくろはほとんど健康保険扱いとなります。 ※健康保険扱いのほくろ除去は1ヶ月に1個とさせていただきます。 |
| 初診料 | 健康保険 870円(3割負担) |
| 再診料 | 健康保険 380円(3割負担) 800円(税込 880円)(自費治療) |
| 処方料 | 健康保険 院外処方 自費治療 院内処方 約1,000円前後 |
盛り上がりのないほくろは、自費治療になることがあります。
健康保険の初診料・再診料は、土曜日13時以降・平日18時以降のご来院やマイナンバーの提示の有無等により3割負担で10円~150円程度加算されます。
ホクロ除去治療のよくある質問
ホクロ除去にはどんな方法がありますか?
炭酸ガスレーザーで削り取る治療、Qスイッチルビーレーザーで黒色を破壊する治療、メスで完全に切り取る外科手術、電気メス(高周波メス)で焼灼する治療があります。
盛り上がりがあるか無いか、大きさや悪性の可能性により、医師が一番良い方法を判断します。
痛みはありますか?
局所麻酔をするため、麻酔の注射が「チクッ」と痛む程度で治療中の痛みはありませんが、麻酔が切れた後、ヒリつきがありますので、消炎鎮痛剤を処方することがあります。
再発しませんか?
レーザー治療の場合、ほくろの深さによっては再発する場合があります。
傷あとは残りませんか?
皮膚には幹細胞が多く、小さい傷は傷あとを残すことなく再生します。一般的に4ミリ以上の傷は傷あとが残るとされ、ほくろも大きさが4ミリ以上ある時は、レーザーで削り取ると傷あとが残ります。そのため、大きなほくろは外科手術が向き、直後は縫合のあとが線状に残りますが、時間が経てば目立たなくなります。
皮膚腫瘍の種類とほくろ治療の知識
皮膚腫瘍の種類
皮膚良性腫瘍
腫瘍とは細胞が生理的な制御を受けずに自律性に異常増殖する疾患で、遺伝子の異常によって起こり、その原因は紫外線などの環境因子やウィルス感染などです。

皮膚良性腫瘍でよくあるものには次のような疾患があります。
- 脂漏性角化症(老人性疣贅) ※疣贅(ゆうぜい)=イボ
- 表皮嚢腫(粉瘤 アテローム)
- 尋常性疣贅
- 稗粒腫
- 汗管腫
- 色素性母斑 母斑細胞母斑(ほくろ)
良性腫瘍は局所で異常増殖しますが転移はせず、生命に危険を及ぼすことはありませんが、痛みや痒みがあったり、足裏など刺激を受けやすい場所にある場合は、後に悪性化する危険性があるので、治療が要する場合があります。
ほくろとは
ほくろ(黒子、痣、mole)とは、皮膚にメラニン色素を生成する細胞(メラノサイト)が局所的に集まってできた良性の腫瘍で、メラニン色素が多く蓄積して黒っぽく見えます。医学的には色素性母斑(しきそせいぼはん)や母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)と呼ばれ、良性皮膚腫瘍の1つです。 見た目が似ている悪性腫瘍(皮膚がん・悪性黒色腫・メラノーマ)の可能性もあります。
主な特徴
- メラノサイトが変化した「母斑細胞」と呼ばれる細胞の塊(良性皮膚腫瘍)。
- 黒色や茶色の斑点で、大きさ大小、盛り上がりがあるもの・無いもの、色の濃淡は様々。
- 先天的なものや、紫外線などの外部刺激によって後天的にできるものがある。
- ホルモンの変化や加齢によって数が増えたり、形が変わったりする。
悪性皮膚腫瘍
稀にほくろに似た形の悪性黒色腫(メラノーマ)の場合があるため、形状や大きさに変化がある場合は、必ず医療機関を受診して細胞診などで医師の診断を受けることが重要です。
| 良性腫瘍 | 悪性腫瘍(がん) | |
|---|---|---|
| イメージ |
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| 増殖速度 | 遅い | 速い |
| 分化度 | 高い | 高い〜低い |
| 局所発育形式 | 圧排性 | 浸潤性 |
| 転移 | なし | あり |
| 生体・生命への影響 | 軽度 | 重篤(死に至る可能性あり) |
良性・悪性の区別が難しく中間に位置する腫瘍もある。
悪性黒色腫(メラノーマ)の性状

- 形が不正形(左右非対称)
- 辺縁がギザギザか不明瞭
- 色の濃淡(色ムラ=黒、茶、灰色、赤などが混在)がある
- 6mm以上のサイズ
- 大きさ・形・高さ・色調に変化が短期間にある(カサブタのようになって増殖する)
などです。
手足によくでき、特に足の裏は刺激を受けやすく悪性化しやすいので、早期の検査・治療をお勧めします。
ほくろの主な治療法
| 適応 | 特徴 | 治療後の注意点 | |
|---|---|---|---|
| 炭酸ガスレーザー (CO₂) |
小さいほくろ、盛り上がりが少ないほくろの組織を蒸散する(削る) | 短時間で終わり、出血が少ない。細胞検査ができない場合がある。 | 深いほくろは再発の可能性あり。1〜2週間でかさぶたが取れる。 |
| 外科的切除 (切除縫合) |
大きいほくろ、再発しやすいもの、悪性の疑いがあるものは、メスでほくろを切り取り、縫合する。 | 確実に除去でき、細胞検査可能。 | 縫合のあとが線状に残るが、時間とともに目立たなくなる。 |
| 高周波メス | 小さなほくろを高周波電流で焼灼して削る。 | 小出血のリスク | 色素沈着に気を付ける。 |
| Qスイッチレーザー ピコレーザー |
黒色のメラニンを破壊する。 | 短時間で終わる。 | かさぶたを無理にはがさない。 |

神戸山手クリニックでは、悪性の可能性のない小さいほくろには炭酸ガス(CO₂)レーザーとQスイッチルビーレーザー又はピコレーザーを同日に照射し、大きいほくろには外科的切除を行ないます。
ピコレーザーを使用した治療は2026年からとなります。
参考文献 「病気が見えるVol.14 皮膚科」
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