Information治療と費用

粉瘤(アテローム)


粉瘤(アテローム) ~最小のキズで再発のない手術~

粉瘤は顔や耳たぶ、首、背中、体幹に好発する表皮由来のよく見られる皮膚良性腫瘍です。表面はドーム状に隆起する腫瘤で、袋状の嚢腫を形成しヘソと呼ばれる開口部が見られることがあり、臭いのある内容物(角質成分)を含んでいます。1~2㎝程度のものが多く、さらに大きいものもあります。

粉瘤
  • 通常の粉瘤

    通常の粉瘤

  • 化膿した粉瘤

    化膿した粉瘤

嚢腫は皮下脂肪層に存在しますが筋膜(浅)下に侵入することがあり、2~3個連なることがあります。化膿すると大きく腫れあがりますので感染前の処置をお勧めしています。

炎症性粉瘤には切開排膿を行ない、抗菌薬を処方して炎症が治まった後に、あらためて切除手術をします。

神戸山手クリニックの粉瘤手術

粉瘤の手術にはパンチで開けた小孔から内容物と壁(粉瘤を包んでいる袋)を取り出す「くり抜き法」と「全切除術」の2種類の手術法があります。くりぬき法では袋が破れ、内容物が傷口に付着し、感染(化膿)を起こす可能性があることから、当院ではシリンダーメスやメスを使って皮膚切開し、嚢腫を壁ごと切除する「全切除術」を行なっています。

筋膜下に侵入した大きめの粉瘤は、皮膚の凹みを作る可能性がありますので筋膜縫合を行います。また、嚢腫の被膜の一部や、併存嚢腫を残すと再発しますので、最小のキズから再発のない手術を心がけています。

初診から手術、経過観察までの流れ

1. 診察・診断

触診や目視で粉瘤の診断が確定し、手術を希望される場合は、術前の血液検査をお受けいただきます。

血液検査の結果に問題があったり、粉瘤が神経に近い場所にある時は手術できない場合があります。

炎症が強い場合はまず抗生剤や切開排膿で腫れを抑えてからの手術になります。

2. 手術日の予約(平日午後13:30~)をお取りいただきます。

3. 手術当日は、術後、痛む可能性もありますので、車の運転はせずに公共交通機関またはご家族の送り迎え等でご来院・ご帰宅ください。

4. 手術の流れ

  1. 局所麻酔
    粉瘤の周辺に注射で麻酔
  2. 全切除法で保険適用手術
  3. 粉瘤の上の皮膚をシリンダーメスで小切開し、袋を丸ごと取り出す
  4. 縫合(大きい粉瘤の場合はドレーン挿入)
  5. ガーゼ保護
  6. 抗菌薬の処方
  • 粉瘤腫(アテローム) 症例写真

    BEFORE

    1.5㎝程の右頬の粉瘤

    AFTER

    術後7日抜糸直後と1㎝弱の摘出標本

5. 再診(抜糸)

術後、順調であれば1週間後に抜糸を行ないます。
ドレーンを挿入した場合、術後1週間以内に何度か通院が必要な場合がございます。

粉瘤(アテローム・できもの)・皮膚腫瘍 治療費用

粉瘤(アテローム)・皮膚腫瘍切除 露出部2㎝未満 4,980円(健康保険3割負担)
2~4㎝ 11,010円(健康保険3割負担)
露出部以外3㎝未満 3,840円(健康保険3割負担)
3~6㎝ 9,690円
※診察料、処方料別
※上記より大きい場合は保険点数により算定します。
腫瘍組織検査 健康保険 約3,000円
初診料 健康保険 870円(3割負担)
再診料 健康保険 380円(3割負担)
処方料 健康保険(院外処方)

健康保険の初診料・再診料は、土曜日13時以降・平日18時以降のご来院やマイナンバーの提示の有無等により3割負担で10円~150円程度加算されます。

粉瘤手術のよくある質問

手術は痛いですか?

手術中は局所麻酔をするため、痛みはほとんど感じません。
麻酔の注射をするときに「チクッ」とした痛みがあります。

手術時間はどれくらいですか?

30分~1時間程度です。
大きさや部位、炎症の有無によって変わります。

当日から仕事や学校に行けますか?

化膿の心配があるので、身体を動かす仕事・運動は控えてください。

手術後の痛みはありますか?

軽い痛みや違和感が数日続く場合がありますが、痛み止めで対応できることが一般的です。

傷あとは残りますか?

粉瘤の大きさ・深さにより傷あとが残る場合がありますが、できるだけ目立たないように縫合します。炎症がない状態で摘出するほうが傷あとはきれいになりやすいです。

再発することはありますか?

粉瘤の袋(嚢腫壁)をしっかり取り切れば再発はしにくいです。
炎症が強い時期に手術すると取り残しやすく、再発率が高まることがあります。

入浴やシャワーはいつからできますか?

当日はシャワーのみ、入浴は翌日以降で、長湯は避けてください。

健康保険は適用されますか?

健康保険が適用される保険診療です。

手術前に注意すべきことはありますか?

体調が悪いと治癒するのに時間がかかる場合があります。万全の体調でご来院ください。

粉瘤の知識

粉瘤の症状

粉瘤の症状

  • 皮膚の下にコリッとしたしこりができる
    ゆっくりと大きくなり、触ると弾力があります。
  • 中央に黒い点(開口部)がある
    毛穴のように見えることがあります。
  • 圧迫して押すと内容物(白〜黄の粥状物)が出ることがある
    角質や皮脂がたまったものですが、自分で無理に出さないでください。
  • 通常痛みは無いが、炎症が起こると痛む(炎症性粉瘤)
    赤く腫れ、熱感や強い痛みが出たり、膿が出て悪臭を伴うことがあります。
    発熱を伴うこともあります。

粉瘤とニキビの違い

粉瘤(表皮嚢腫・アテローム)

  • 皮膚の内側に袋(嚢胞)ができ、その中に角質や皮脂がたまってドーム状に腫れる。
  • 袋の入り口(開口部)が詰まることで発生する。
  • 中身はチーズのような不快な臭いのある内容物。
  • 放置すると大きくなり、炎症・感染(赤く腫れ、痛い状態)を起こすこともある。
  • 自然治癒しない。
  • 袋を取らないと再発する。

ニキビ(尋常性ざ瘡)

  • 皮脂腺が詰まり、皮脂がたまってアクネ菌が炎症を起こす。
  • 白ニキビ・黒ニキビ・赤ニキビ・膿ニキビなどの段階がある。
  • 生活習慣やホルモン、スキンケアの影響を受けやすい。
  • 中身が排出すれば自然治癒することもある

ニキビの種類

ニキビの種類
粉瘤 ニキビ
触った感触 皮下にコリッとしたしこり 表面がプツっとして白い・赤い・膿んでいる
原因 皮膚の内側に“袋”ができる 毛穴が詰まり皮脂がたまる
中身 角質や皮脂のかたまり コメド、炎症性の膿
自然治癒 しない 膿やコメドが排出すれば多くは治る
治療法 手術(袋を取り除く) 圧出や処方薬で治療

初診・ご予約について

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